『まがいもの令嬢から愛され薬師になりました』
公子から婚約を打診された伯爵令嬢のマリアは、決めた――ー死んだふりをして、修道院へ逃げよう…と。なぜならマリアは伯爵とは何の血の繋がりもない、まがいものの令嬢だからだ。
そうして修道院へと向かう道中、マリアはガラスの森の側で巨大ハムスター(幻獣)の群れに連れ去られてしまう。どうすることもできずに死を覚悟したその時、ある人物に助けられーー!!?
森の中で馬車に乗っていたはず…
なのに、どうしてこんなことに…!!!??
『まがいもの令嬢から愛され薬師になりました』1話のネタバレを紹介します!
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『まがいもの令嬢から愛され薬師になりました』1話 ネタバレ!
マリア・リエンダールは伯爵家令嬢として育った。
父を病で亡くしながらも領民を献身的に看病した健気な令嬢…と世間では言われているらしい。
そんなマリアに、アルテアン公国の第5公子から婚約の打診がきた。
本来なら、なんの問題もない縁談だが…、
…そう。何を隠そうマリアは、
前リエンダール伯爵とは全く血が繋がっていないまがいものの令嬢なのだ!
マリアの薬師としての才能を見出して、薬師の母を失ったマリアを、専属薬師にならないかと声をかけてくれたのが前リエンダール伯爵だった。
「今までお世話になりました。」
マリアは養父が亡くなった後も大事にしてくれていた叔父と叔母にお礼を言った。
結局婚約の話は断れなかった。
しかし、マリアが伯爵家の血など一滴も流れていないことがバレでもしたら家が大変なことになると考え、マリアは病で死んだことにして、修道院へと逃げようとしているのだった。
こうして、マリアは修道院への道を馬車で出発した。
暫く森を進むと、モヤモヤと霧が立ち込めてきていた。
不思議に思って御者の人に聞いてみると…
「ガラスの森の側なので幻獣のせいかもしれません。」
幻獣。はるか昔からいるという不思議な存在。
動物のような姿だが、あらゆる自然現象を発生させる、人間では太刀打ち出来ない存在。
そして、そんな幻獣達が集まってくるのがガラスの森。
幻獣達が集まる上、奥に入りすぎると自身もガラスになってしまう。という噂がある為、基本的に一般人はガラスの森には入らないのだ。
ここはまだただの森のはずだが…どうしてこんなところにまで影響が…と考えていると…
「ひぃっ」
御者の悲鳴が聞こえ、馬車が止まった。
急いで馬車を出て御者の安否を確認すると、気を失っていただけであった。
とりあえずは安心して、気つけ薬を飲ませようとした。
が…
ドドドドドド!!!
「え?なに?」
““ ーーミツケタ!””
地鳴りのようなものが響いた後、続いて不思議な声を聞いたような気がして、慌てて御者を起こそうとする。
しかし、ギラッっとした視線に射すくめられ、恐る恐る振り向く。
そこに居たのは…
「ハム…スター?」
大きすぎるハムスターがいた。人間の腰のあたりまでは体長があるような。
幻獣の類だと安易に想像できた。
驚いて、そのままハムスターを凝視していると、なんとびっくり。
ハムスターはマリアに飛びつき、スリスリと擦り寄ってきた。
飛びつかれた勢いで、マリアは地面に倒れてしまう。
…と思われたが、また別のハムスターに体を支えられていた。
辺りには沢山のハムスター。
マリアは為す術なく、ハムスター達に担がれてどんどん森の奥へと進んでいった。
そして今、ガラスの森まで連れてこられたマリアは、流石に焦ってハムスター達に降ろして貰うように頼む。
しかし、言葉が分からないのかもっと奥まで連れていかれている。
流石に怖くなり、マリアが死を覚悟したときー
「ーー止まれ。」
凛としたその声が聞こえたと同時に、ハムスター達が止まった。
…そう。止まったのは良いのだが、その拍子にマリアは空中へと放り出されてしまったのだ。
地面にぶつかる!…と思ったとき、誰かがマリアを受け止めた。
マリアは急いで礼を言い、降ろしてもらうよう頼んだ。
美麗な青年だった。
服装を見るにリエンダール伯爵家など目ではない程の大貴族だと推測できた。
どうしてガラスの森に1人で…?とマリアが訝しんでいると。
““ グルル…… ””
狼の姿をした幻獣が現れた。
そして一直線に青年へと駆け、攻撃を仕掛けた。
青年は難なく防いだが、表情が険しくなっている。
青年を嫌っている…もしくは避けている…?
そんな人の話をマリアは聞いたことがある気がした。
幻獣は次の攻撃に入ろうとして、体制を整えていた。
マリアはそれに怯え、その拍子に持っていた薬瓶を幻獣に投げつけてしまった。
怒らせたか…とマリアは思って怯えて見ていると、不思議なことに幻獣は薬瓶の匂いを嗅ぎ、それにすりよったのだった。
「…幻獣だね。死にかけの。」
青年の言葉通り、幻獣の体は所々ガラスで被われていて、見るからに弱っていた。
(薬を欲しがってるの?…あれはただの気つけ薬なのに。)
青年に、治る保証はないが他の薬があるのならば、与えてみる価値はあると言った。
あれだけマリアの薬に執着しているのだから、他の薬も与えればせめて心穏やかに旅立つこともでくるかもしれない…とも。
マリアは、少しでも楽になれそうな『春の日差し』という心を安らがせる薬を選び、生前母が教えてくれた、おまじないを唱えた。
『手の平で夜は作り出され、月を呼び覚まし、 全ての歪みを正す』
少しでも楽になるように…と思いながら唱えると、なにやらマリアの周りがチカチカと輝き出す。
その輝きを不思議に思いながらも、死にかけている幻獣に薬を差し出す。
「あなたに差し上げます。どうかこれで、少しでもあなたの心が安らぎますように。」
すると、どうでしょう。
幻獣が薬を飲んだ途端、パキッっと音を立てて幻獣を被っていたガラスが割れていき、本来の幻獣そのものの姿に戻っていたのだ。
幻獣は嬉しそうな表情をした後、茂みの中へと消えて行った。
(どうして…?心を安らがせる薬で、何かの症状を止めるものではないのに。)
マリアは青年に、幻獣に与えた薬は気持ちが安らぐだけの薬だと説明した。
そして青年はマリアのことを、薬師か貴族の令嬢だと判断していた。
「薬師でないなら貴族の令じょ…」
「いいえ、薬師です。」
「…わけありか……。」
(その通りです…)
青年は、森の外へと案内しようと申し出てくれたが、青年があげた街の名前は、どこも隣国のセーデルフェルトという国のものだった。
そこで、マリアがアルテアン公国側から来たことを告げ、公国への道案内を頼もうとした。
…のだが、
「私はアルテアン公国側には行けない。よって案内も難しい。」
(え”)
そこでマリアは思い出した。
このガラスの森は、セーデルフェルトの領地だという事を。
つまりマリアは、不法滞在者…なのである………。
青年はマリアに通行証の有無を聞くが、当然マリアはそんなもの持っているはずもなく、途方に暮れた。
そんなマリアに青年が1つの提案をする。
それは、青年が持っている一軒家をマリアに貸すというものだった。
なんでも、3ヶ月ほどセーデルフェルトで暮らせば住民として通行証を発行できるらしい。
「家賃は…ただにするよ。」
そう言って、青年はその綺麗な顔に妖しげな笑みを浮かべた。
『まがいもの令嬢から愛され薬師になりました』1話 感想
第1話です!
麗しいイラストと共に中々ファンタジーなストーリーですね!
幻獣とか!ガラスの森とか!なんだかワクワクしちゃいます!!
さてさて、マリアちゃん。中々不憫な少女です。
余りシリアスな表現はされていませんが、小さな頃に母を亡くし、拾ってくれた父も亡くした。
私だったら打ちのめされて、そんな現実を受け止めきれないと思います…。
マリアちゃんは強いなー…と思いました。
そして、麗しの美青年。まだ名前も出てきていない謎の人物です。
なんだか神秘的なオーラを感じますね…。
次回はどうなるのでしょう?
楽しみですねー!
*まとめ*
『まがいもの令嬢から愛され薬師になりました』1話のネタバレを紹介しました!
謎の青年から、青年が持っている家を三か月間貸そうと提案されたマリア。
マリアの反応はーー!!?
第2話も楽しみです!!!
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